バイト給料未払いの経験ありませんか?
このようなバイトでのトラブルは珍しくありません。
ただし、いかなる理由があったにせよ、給料の未払いは”違法”であり、当然ながら労働者(アルバイト生)は未払い分の給料を請求する権利があります。
とは言っても、バイト先の店長(雇用主)がお給料を振り込んでくれない以上、問題は解決しませんよね。
では、どうすればいいのでしょうか?
給料未払いが法律違反であることは、バイト先の店主(雇用主)も十分理解しているはずです。だからこそ、労働者とのトラブルはできるだけ避けたいと考えているでしょう。
しかし、あなたが不満を抱えているのと同じように、雇用主側も感情的になっている可能性があります。違法であることを分かっていても、意地になり譲れないこともあるかもしれません。
「謝罪するのは納得できないが、未払いの給与は回収したい」という場合、法的手続きを検討する必要があります。
雇用主との直接交渉が難しい場合、未払い給与を回収するための方法として、以下の選択肢があります。
- 内容証明郵便を送る(弁護士や労働組合に依頼することも可能)
- 労働基準監督署に相談する(ただし、強制力はない)
- 少額訴訟や民事裁判を起こす(比較的手続きが簡単)
「バイトでそこまで大げさにするのか?」と思うかもしれませんが、雇用契約を結んでいる以上、給与を請求するのは当然の権利です。直接交渉が難しければ、法的手段を検討する覚悟も必要でしょう。
そもそも、喧嘩してバイトをバックレた(一方的に辞めた)のであれば、当然あなた自身にも何かしらの不利益が生じるリスクは想定していたはず。ちなみに、民法では「退職日の2週間前に退職を伝えなければならない」と定められています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:民法627条1項
上記の通り、民法上のルールで言えば、「2週間前の申告を無視して雇用関係を一方的に破ったバイト生にも非がある」と考えられます。だからといって、給料の未払いが許されるわけではありません。
つまり、理由はさておき、突如バックレてしまったバイト生にも非はあります。そのため、未払いの給料を請求する場合は裁判が必要になるケースもある、ということは覚えておきましょう。
このような時は、少額訴訟という形式の裁判が有効です。
少額訴訟とは?
請求額(未払い分の給料)が10万円以下の場合、費用(手数料)は1,000円で訴訟を起こすことができます。弁護士を必要とせず、裁判のその日のうちに判決が下される迅速かつ簡易的な訴訟制度です。
少額訴訟のメリット
- 通常訴訟よりも迅速かつ手続きが簡単
- 訴訟費用が安い
- 強制執行の申立てが可能
本気で未払い分の給料を回収したいのであれば、「少額訴訟」をご検討ください。
バイト給料未払いを回収したいのであれば、少額訴訟以外に方法はない
って思う人もいるかもしれませんね。実際、バイトでトラブって給料未払いの話は聞いたことあるけど、裁判を起こした話は滅多に聞きません。
では、もし給料未払いが発生した場合、裁判以外でどのような対処法があるのでしょうか。
よくある給料未払い時の対処法
- 内容証明書郵便を送る
- 労働基準監督署に相談する
→ ただし、実際には効果はほとんどありません。。
内容証明郵便を送ると、給料未払い請求期限(2年)を6ヵ月間引き延ばすことができますが、それによって未払い給料を支払わせる強制力があるわけではありません。
また、ネットの情報だと「労基に訴えるぞ!っていうとビビッて給料振込んでくれる」っていう意見を見かけますが、実際はそんなことありませんよ。
そもそも、労基は学生相談所ではないので、バイト生の相談を親身に受けるとも限りらないし、バイト生が自分都合でバックレたのであれば、その行為を擁護するはずはありません。
つまり、労基に相談しても、実質的に門前払いされるケースがほとんどでしょう。
実際、労基に相談して給料の未払い分が支払われたという話を聞いたことがありません。むし、労基に相談しに行って、逆に嫌な思いをするケースおあるでしょう。
- バックレたのは良くないね。あなたに非があるんじゃないの?
- ちゃんとバイト先と話し合いはしたの?
- 給料未払いを証明する証拠はある?
このような質問をされたり、説教じみた話をされることが予想されます。
何が労働基準監督署だよ…
結局泣き寝入りするしかないじゃん….
っていう状況になることが目に見えています。
このような状況を避けるために、自分で行動を起こすしかありません。
覚悟を決めて、裁判(少額訴訟)の準備を始めましょう。
とはいっても、意地を張らずに、謝ってしまえば解決できるケースがほとんど…ということは忘れずに。
» 退職代行サービスは違法?即日退職のリスクと法律のポイントを解説
少額訴訟を起こす方法【未払いの給料を回収する手順】
まず、給料未払いのケースが少額訴訟を起こす条件を満たしているかをチェックしましょう。
少額訴訟の申込条件
- 請求金額が60万円以下(利息や違約金を除く)
- 少額訴訟申込回数が年に10回未満
- 被告(訴えたい相手)の現住所を特定している
バイト先を訴訟するケースの場合、①②は問題ないと思いますが、③は注意しなければなりません。
なぜなら、訴訟は被告に直接送達する必要があるから。
被告(未払い分の給料を請求したい相手)の現住所が分からなければ、訴訟を送達できないため、少額訴訟を起こすことができません。
また、被告が弁護士を立てた場合、少額訴訟ではなく、通常訴訟への移行しなければならず、あなたも弁護士に依頼して通常裁判の準備をする必要があります。
上記の条件をクリアできれば、いよいよ“少額訴訟”の準備を始めましょう。
【手順】少額訴訟に必要な書類を提出~判決までの流れ
① 訴訟の申し立て
未払い給与を請求する相手(被告)の現住所を管轄する簡易裁判所へ、必要書類を提出し、少額訴訟を申し立てます。
- 訴状(訴訟の内容を記載した書類)
- 給与未払いの証拠書類(給与明細、契約書、未払い分の計算書など)
② 簡易裁判所が申請を受理
裁判所が申し立てを受理すると、原告(あなた)と被告(雇用主)に裁判の期日が通知されます。
③ 事前聴取(必要に応じて)
簡易裁判所の書記官から事実関係の確認を求められることがあります。以下の対応が必要になる場合があります。
- 追加の証拠書類の提出
- 証人の準備
- 事前の事情聴取への対応
④ 被告の答弁書提出
被告(未払い給与を請求されている雇用主)が、訴訟に対する反論や主張を記載した答弁書を提出することがあります。
⑤ 裁判(法廷に審理)
いよいよ裁判が行われます。裁判の所要時間は30分~2時間程度で、以下のような審理が進められます。
- 提出された証拠書類の確認
- 証人尋問(必要な場合)
- 被告・原告双方の主張確認
場合によっては、この場で和解が成立することもあります。
⑥ 判決の言い渡し
審理が終了すると、その場で判決が下されます。
明確な給与未払いの証拠を提出していれば、請求が認められる可能性は非常に高いです。ただし、被告が異議申し立てを行った場合は、通常の民事裁判に移行する可能性があります。
以上が少額訴訟の流れになります。
はっきり言って、少額訴訟は簡易的な裁判とは言っても面倒な手続きを踏むことになります。
さらに、被告が異議申し立てをしてしまうと、通常裁判に移行しなければならなくなるため、少額訴訟の準備をしてきた苦労が水の泡になりかねません。
少額訴訟の感想
- どんな理不尽があっても仕事をバックレるのは良くない
- バイトとはいえ、労働者である以上、民法627条の2週間の期限は最低限厳守した方がいい
- どんなに胸糞悪くても、事前に退職希望を雇用主に伝えた方が良い
実際問題として、急に辞められることによる不利益をバイト先は負っているはずです。
求人広告費や、教育費、本来あなたがいるはずのシフトが抜けたことによる損害など、あなたの想定していない様な被害をバイト先に与えたのも事実です。
とは言うものの、理不尽極まりなく、一時的な感情に高ぶってバックレたくなる気持ちも十分理解できます。
しかし、そういう状況になったとしても一方的に辞めてしまうことは、例えあなたの理念・信念、さらにはプライドに反する待遇を受けたとしても、決して良い判断ではありません。
もし、そうした状況に遭遇した場合の解決策として、「退職代行サービス」があります。
そう思ってバックレても、最後の給料がもらえなければ、なおさらストレスが溜まり、怒りがこみあげてくるかもしれません。
そうした時に、あなたに変わって退職の手続きを進めてくれるサービスがあると、便利だとは思いませんか?それが「退職代行サービス」です。
無断で辞めるより、退職代行サービスを利用した方が賢明な選択
何度も言いますが、一方的に辞める、バックレる、飛ぶといった行為は決して良い選択とは言えません。率直に言うと、無責任で未熟な行動と捉えられることが多いでしょう。
しかし、そうせざるを得ない状況に追い込まれることがあるのもまた事実です。
とはいえ、感情に任せた退職が後々の人間関係や職歴に悪影響を及ぼす可能性もあり、結果的に自分自身にとってもメリットはありません。
そのようなリスクを回避し、最後に支払われるはずの給与が未払いになるのを防ぐためにも、退職代行サービスの利用を検討する価値があります。
退職代行サービスを利用しても即日退職は可能?
退職代行サービスを利用する場合でも、民法上は退職の2週間前に意思を伝える必要があるとされています。
しかし、雇用主と労働者の間で合意が得られれば、即日退職も可能です。問題となるのは、合意なしに一方的に辞めてしまうケースです。
また、アルバイトは基本的にシフト制で勤務が決まるため、雇用主側が労働者の意向を無視して勤務日を強制することはできません。
そのため、バイト生が辞める意思を伝えれば、雇用主はそれを受け入れざるを得ない状況になります。
こうした「辞めたい」という意思の通達を代行するのが、退職代行サービスの役割です。
退職代行サービスを利用することで、給与未払いのリスクを避けつつ、バイト先との直接交渉をすることなくスムーズに退職できます。
退職を決断する前に冷静に考えよう
無断で辞めてしまう前に、あるいはすでに辞めてしまったその日に、一度冷静になって考えてみてください。
- 最後に受け取れるはずの給与が未払いになるリスクを負うか?
- 少額訴訟を起こす覚悟があるか?
- 退職代行サービスを利用することで、スムーズに退職できるメリットを活かすか?
自分にとって最善の方法を選び、後悔のない退職を目指しましょう。
最後に:給料未払いを未然に防ぐための対策を考えよう
バイト先の店主(雇用主)が理不尽な対応をしたことで、「どうしても制裁を下したい」「絶対に未払い給与を回収したい」と考えている場合、法的手続きを検討するのも一つの選択肢です。
少額訴訟を利用する条件
少額訴訟は、比較的手軽に給与未払いを請求できる制度です。以下の条件を満たしていれば申し立てが可能です。
- 請求金額が60万円以下(利息や違約金を除く)
- 少額訴訟の申し立ては年10回まで
- 被告(雇用主)の現住所が特定できている
訴状と給与未払いの証拠を用意し、被告の現住所を管轄する簡易裁判所に提出すれば、手続きが進みます。
通常、訴訟を起こされると相手は驚き、未払い給与を支払う可能性が高いですが、異議申し立てが行われると通常裁判へ移行するケースもあるため、その点は理解しておきましょう。
どんな理由であれ、衝動的に退職してしまうことは、バイト先だけでなく自分自身にとってもリスクがあります。
突然辞めてしまうことで、給与未払いの問題が発生しやすくなったり、今後の職場選びにも影響を与えたりする可能性があります。
とはいえ、職場環境が悪かったり、上司の対応に耐えられなかったりして、思わずバックレてしまう気持ちも理解できます。
しかし、社会に出て働く以上、毎回そのような方法を取るのは現実的ではありません。トラブルをできるだけ避けながら、賢く対処するスキルを身につけることが大切です。
もし「すでに無断で辞めてしまった」「今さら直接交渉するのは難しい」という状況であれば、退職代行サービスの利用も一つの選択肢になります。
退職代行を利用することで、未払い給与の請求や退職手続きをスムーズに進めることができるため、直接雇用主と対峙することなく解決を目指せます。
トラブルを最小限に抑えながら、自分の権利を守る方法を選ぶことが、賢い選択といえるでしょう。